父親

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When I look back on it all now, see the old man sitting down to table with his boozy breath and saying shit why don’t some one smile, why do you all look so glum, I feel sorry for him and for all merchant tailors who have to kiss rich people’s asses. If it hadn’t been for Olcott bar across the way and the sots he picked up there God knows what would have become of the old man. He certainly got no sympathy at home.

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boozy 酔った、大酒を飲む、しょっちゅう酔って
glum むっつりした、ふさぎこんだ
merchant 商人、商店主
pick up 見つける、拾う
sot のんだくれ、のんべえ、のみ助
become of〜 〜がどうなったことか <口>どこへ行ったのだろう
if it had not been for〜 もし〜がなければ


さて、父親が具体的に始めて登場します。ところが、このあともしばらく「the old man」と書かれているだけで、端的に「father」と書かれている場面は無いんですね。この辺のちょっとした距離感を生かしたところなんですが、「the old man」と出てくるたびに「年老いた男」や「老人」とやっていると、正直わかりづらいなあと思いました。そこで「the old man」は「父」と簡潔に書いて、もし「father」と出てきたら「親父」とすることで、解決するということで、とりあえずは「父」としておきます。


「table」は机とやると一人で話しているイメージが出るので、食卓としておきます。「kiss one’s ass」はすでに日本でも通用する表現だと思い、そのままに。「God knows…」は神のみぞ知るってやつです。「become of」は文脈から口語の方にしておきました。If以下は仮定法になっているので、実際はいつもバーで飲んだくれていたんでしょうw高校の受験の時を思いだしますねえ。andはOlcott and sotsと繋げています。pickは見つける/拾い上げるだから、彼がバーで作った飲み友達たちが存在しなかったら、というニュアンス。最後の分は日本語のいいまわしを使ってみます。




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その頃を振りかえり、年老いた父が酒くさい息をまきちらしながら食卓に座り「なんで誰も笑わないんだ」「なんでお前らは全員むっつり黙り込んでいるんだ」とクソをたれていた姿を見ると、僕は、父や、父のように金持ちのケツにキスしなければならない全ての仕立屋たちに同情する。仮に通りを渡ったオルコットホテルのバーが存在しなかったら、仮に父がそこで仲間になった飲んだくれたちが存在しなかったら、彼がどこへ行ったのか神のみぞ知るという具合だった。父は事実、家庭をかえりみなかった。

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面倒な男

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He raised hell with everybody, including the family doctor, because the latter couldn’t keep his kidneys clan of gravel. If we made him a sack coat in August by October it was too large for him, or too small.

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kidney 腎臓
gravel <医>尿砂
sack coat サックコート(日常着として背広の上着

latter 以下はいわゆる無生物主語ってやつですね。昔、飲み屋でアルバイトしていた時30代後半の人が「石が出来るとと本当に痛くて苦しいんだよ…」と言っていたことを思い出しました。latter は近頃。次の文はIf we made him a sack coat in August, by Octoberと8月と10月の間にカンマを入れると分りやすくなります。日本語の文章はあんまり代名詞(彼とか彼女とか)をいれずにそのまま名前を入れた方が通りがよくなることが多いです。becauseの後は「なぜなら最近では、彼は尿砂という意味で、彼の腎臓をキレイに保てていなかった」。しかし、横書きだと句点が多くなりがちですねー。縦書きだとあんまり気にならないのに。

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ベンディックスはあらゆる人に怒鳴り散らし、彼のかかりつけの医者にも近ごろ腎臓に尿砂がたまりがちということで、腹いせに文句をつけていた。もし彼の上着を8月に仕立てたなら、10月にはもう太りすぎているか痩せすぎているかしてサイズが合わないというありさまだった。

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When he could find nothing to complain about he would dress on the right side so as to have the pleasure of bawling the pants maker out because he was strangling his, H. W. Bendix’s, balls. A difficult guy. Touchy, whimsical, mean, crotchety, capricious, malevolent.

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complain about〜 〜に泣き言を言う、ぼやく、不平を訴える
bawl〜out 〜に叫ぶ、わめく<口>怒鳴りつける、しかりつける
so as to〜 (〜以下に目的をはっきり示す)
right side ?
strangle 絞め殺す
touchy 怒りっぽい、敏感な、扱いに慎重を要する
whimsical 気まぐれな、風変わりな
crotchety 気まぐれな、偏屈な
capricious 気まぐれな、移り気の、当てにならない、(Capricorn カプリコーン、山羊座
malevolent 悪意のある、敵意をもった、<占星>悪い力のある星 
mean (2) 卑劣な、下品な、さもしい、あさましい、けちな

これすげえ悩んだんですね。ballsは間違いなくキンタマのこととしても、he would dress on the right sideの部分がとっつきにくい。dressは間違いなく動詞で、the right sideがねえ。「右側」と考えるか「正装する」では、because以下の意味がはっきりしているから、意味はあんまり変わらないんですけれど、内容が違ってきます。

ちょっと寄り道をしてみると、全体はこんな感じ
When he could find nothing to complain about /he would dress on the right side/ so as to have the pleasure of bawling the pants maker out/ because he was strangling his, H. W. Bendix’s, balls.

彼が文句をいうものが何も見つからない時/彼は???するだろう/ズボン職人をしかりつける喜びのために/なぜなら彼(パンツ職人)は彼(ベンディックス)の、H. W. ベンディックスのキンタマを絞め殺しているからだ。

となります。

ちなみに辞書は「リーダーズ英和辞典」を使っています。村上春樹のお勧めということで迷わず高校の時に使っていた辞書(行方不明)の代わりに購入しました。

さて、調べると、「on the right side」で「正しい方法で」という意味がありますが、もちろん「右側」という意味もあります。Google先生に聞いても両方の意味が出てくる。しかし、じっくり見てみると右側という方が特に衣類に関してはかなり優勢のようです。ついでに" dress on the right side"さらには念を入れて " dressed on the right side"で検索したところ、どちらもほとんど検索に引っかからないしdressを動詞と使っている例は皆無、慣用句やお決まりの表現ではないようだ…つーことは「右側」で決定。正装するという時はformalを使うようだし。

次はミラーたんお得意の羅列パターンですね。カプリシシャスという単語を見て「Tropic of Capricorn (南回帰線)」を思い出しニヤっとする俺は無職進行中。けっこうミラーたんは占星術の単語とか医学の単語が好きなんですよね。バラの十字架三部作をプレクサスまで読んだとき突然「対数」をいう言葉の上に「ロガリズム」とルビが振ってあり、それを見てようやく腑に落ちた経験があります。「山羊のように気まぐれで」とか入れてみようと思ったんですけど、どうしよう。「キュウリのようにクールだ」って感じでやってみます。「風変わり」っていう言葉は頭がちょっとイカれてる感じがししていいですね。あの人ちょっとアレだから…みたいな。全部「で」でつなげたかったので、最初に性格という単語を挿入。Meanはキンタマの話を受けて「卑劣」「下品」と分割しました。

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ベンディックスが泣き言を言うきっかけを見つけられなかったら、やつはズボンの右側の方に押し込んだことだろう――もちろん、H. G. ベンディックスのデカいキンタマを締め付けているズボンを作った職人にわめき散らす喜びのために。面倒な男だ。怒りっぽい厄介な性格で、風変わりで、山羊のように気まぐれで、卑劣で、下品で、偏屈で、悪意がある。

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偏屈

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No matter how fast I walked old man Bendix was sure to be there ahead of me , raising hell with the cutter because neither of the bosses was on the job. How was it we could never get there ahead of that old buzzard Bendix?

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raise hell with<口>大騒ぎをする、(大声で)叱責する、文句をいう、怒鳴りつける
cutter 裁断師
no matter how〜=however〜 どれほど〜でも
old buzzard <俗>卑しむべきやつ、老いぼれ、つむじまがり

Bendixはベンディクスかベンディックスになると思うんですが、どっちでもいいでしょう。ベンディクスの方が今風ですね。ギャングスタみたいに。既訳ではどうなってたかなあ…80年くらい前の話だし、それほどスピード感も求められていないので、「ベンディックス」にしておきます。「old man」で老人なんですけど、「old man Bendix」と「old buzzard Bendix」の対比がポイントなってきますね。前者を「ベンディックスのじいさん」後者を「ベンディックスのじじい」としておきます。「口うるさいベンディックス」でもいいんですけど。buzzardはブザーがブーブーなるっていうのが元ネタでしょう。ごちゃごちゃ口うるさいじいさんは身の回りに1人はいるのではないでしょうか。「raise hell with」は「カミナリを落とす」っていうやつですね。「on the job」は仕事についていない。

直訳は、「どれほど早く私が歩いても、老人のベンディックスは確実に私より前にそこに(店)いて、店のボスたちが誰も仕事に着いていないから、裁断師を叱りつけていた。ベンディックスのじじいより先にそこに(店)に着いたことがない私たちはどう思えばいいのだろうか?」

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いくら速く歩いても、ベンディックスのじいさんは僕より先に店にいて裁断師に怒鳴り散らしている。店長たちが誰もいないからだ。でも、いつもベンディックスのじじいより遅れて来る僕らはどうしようもない。

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「ちょwwwwおまwww」的な言い掛かりですね。言外に、いつも遅刻している、ということに何1つ負い目を感じていないことがにじみ出ています。遅刻すんなよという突っ込みをしたくなりますが、少なくともヘンリーミラーという男は口当たりのいい奇麗事を言うような男ではありません。客も親父も兄弟も母も親戚も、全員どうしようもねえ。そういうことを率直に書ける人はなかなかいません。しかし、その中にも、そこはかとなく親愛や敬意を払っているニュアンスは、原文を読んでみて、より一層感じるところです。

話が先走りましたが、以下old buzzardの受けて、詳しい人物描写です。

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He had nothing to do , Bendix , but run from the tailor to the shirtmaker and from the shirtmaker to jeweler’s ; his rings was either too loose or too tight , his watch was either twenty-five seconds slow or thirty-three seconds fast.

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jeweler 宝石商
either A or B  AかBのどちらか

文法的には分りやすい文章です。悩むのは否定の後のbutくらいでしょう。この時代は文字通り「使い走り」だったんでしょう。実際に徒歩で歩いてシャツ職人のところへ行って、戻ってくるという細々とした用事も直接処理しなければならない、電話や車でサクっと済ますわけにはいかないというテクノロジーの時代背景を想像すると分りやすいです。ほとんど既製服を買うという概念が無いんでしょう。洋服は全部店に頼んで作らせるという時代でもあります。andはrunにくっついていますね。fromが目印になっていてこれも分りやすい。;以下は例を挙げています。

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ベンディックスは自分では指一本動かさないかわりに、自分の指輪がきつすぎたり、ゆるすぎたり、時計が25秒遅れていたり、33秒進んでいたりというようなどうでもいい用事で、仕立屋をシャツ職人の所へ使いに走らせ、シャツ職人を宝石店のところへ走らせる。

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Google mapで見るThe Tailor Shop


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A joint corporation of father and son ,with mother holding the boodle.

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joint 共同の、合同の、共有した joint corporation合弁会社
boodle <俗>集団、連中、やつら

ここで最初の段落が終わります。受験英語しかしらないので、動詞がないと戸惑いますが、そのまんま名詞がぼんと置かれていると考えれば、まあ問題ないっすね。
「父と息子の合弁会社で、母が集団を支えていた」という意味。

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店は父親と息子の共同会社になっていて、母がこの集団をまとめていた。

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Morning eight A.M. or thereabouts a brisk intellectual walk from Delancey Street and the Bowery to just below the Waldorf.

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brisk 活発な、元気のよい、きびきびした、
intellectual 知的な、知性のある
Delancey Streetデランシー通り
the Bowery バウリー街 安酒場や安宿のあるホテル ネットで調べるとかつてはホームレスエリアだったとか
Waldorf 「ウォルドルフ=アストリア」ホテル。1泊10万オーバーの超高級ホテル

ところで、実際に仕立屋がどこにあったかと調べてみると、
5 W 31st St, New York
という住所にあったことがわかりました。

カナダのイケメン男性がやっている、ちょっとニヤっとしたくなるタイトルのブログで、現在の様子が写真付きで紹介されていました。

COSMODEMONIC TEKEGRAPH COMPANY:A HENRY MILLER BLOGより
http://cosmotc.blogspot.com/2007/02/photos-of-tailor-shop.html

これを見ると、「オルコットの酒場」じゃなくって「オルコットホテル(の1階にある酒場)」ですねえ…後でまとめる時に修正しておきます。

さて、グーグルマップで見てみると、デランシー通りとバウリー街の交差点から、バウリー街を真っ直ぐ歩き、ユニオンスクエアのところで(すなわちウォルドルフホテルの下手)からパークアベニューストリートに入り、直進して5 W 31 Streetに当ると左折。そのまま200メートルほど歩くと店に着く、という約2キロ弱の通勤が見えてきます。さくさく歩けば20分ほどでしょう。

a brisk intellectual walkは、intellectual capitalで知的資本というように、知的な歩行、briskがついているので活発な知的歩行という感じです。

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朝の8時かそれぐらいにデランシー通りとバウリー街の角からウォルドルフホテルの下手まで活発に頭を働かせながら歩く。

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奥深い“on”

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It was enough to drive any man to drink.

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ここでのany man は「どんな人も」ということでしょう。文法書に書いてあったし。Driveは「余儀なくある状態に押しやる」

直訳は「どんな男でも酔っ払いに走らせるには充分だった」。ここで酒浸りになってるのはミラーの親父です。普通はItは訳さないとこですが、前後の関係から「それは」としておきます。意味の上では「(厄介な客のせいで)どんな人も酒びたりにさせるには(主語)充分だった」。「酒に走らせる」とやるとちょっと感傷的かな…今回から和訳の部分は###で囲むことにしてみます。

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それはどんな男でも酒びたりにさせるには充分だった。

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実はこの作業、1回ノートに書いてからそれを打ち込んでいるんですよね。どっちにしろデータとして残しておきたいから打ち込まなきゃいけない、ならいっそブログにして、ついでに友達に見てもらって直してもらおうというのが裏事情。

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There we were ,just opposite the Olcott ,Fifth Avenue tailors even though we weren’t on the Avenue.

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このwe weren’t on the Avenueの部分、最初はまったく意味がわかんなかったんです。はあ? 直訳すると5番街のオルコットの向いにあるけどアベニューには乗ってない? 意味がさっぱりわかんなくて、苦し紛れに「大通りには面していなかった」と書いてみたものの、さっぱり…しかし、読み進めていくと店に入るためにエレベーターに乗るシーンがあるんです。つまりこのon the Avenue=1階という意味だったというわけ。onの奥の深さが沁みました…ちなみにそれほどエレベーターが発達していない時代では、上等な部屋というのは1階を指し、最上階なんて負担が多いだけの良くない部屋でした。

the Olcottは父親がいつも飲んでいる酒場なので「オルコットの酒場」としておきます。頭から訳していくと「そこに私たちはいた、オルコットの酒場のちょうど向かい側、5番街の仕立屋に、私たちは(1階の)通りに面してはいなかったのであるけれども」


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僕らは五番街の、オルコットの酒場のちょうど向かい側にいた。もっとも、僕たちの仕立屋は通りに面した一階ではなかった。

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「いた」はちょっと通りがよくないかな。「一階にある店舗ではなかった」の方が意味はよくわかるなー。でもほんの序盤だし、ここはタイトにすっきりいっておきたいので、あえてこういう形に。

悪意

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They were ticklish bastards,all these old farts we catered to.

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ticklsh 厄介、神経質な、扱いが難しい、扱いが微妙
bastard 私生児 <俗>嫌なやつ、ろくでなし
farts <俗>ろくでなし(vt 屁をひる)
cater 提供する 
cater to〜 〜の用命に応ずる、〜の要求を満たす
cater for〜 〜に(娯楽などを)提供する

さて、トッフル380点のうp主です。
これでも高校の時はセンター試験8割だったんですけどねー。
その後家庭教師をやりながら少し持ち直したと思うんですが…
もし中学生に英語を教える時は動詞の意味の「〜に」とか「〜へ」の「〜」の部分をちゃんと意識させながら、覚えるようにすると理解が早いです。余談。
現在は予備校講師の友人の勧めにしたがって参考書を読んで勉強しています。
で、2番目の文です。ちなみに最初の「誰々さんの〜」という会話はミラーの父親が、仕立屋を手伝っているミラーに言ってるセリフです。これは実際に、ミラーの親父は仕立屋だったようです。そして、この2番目のセンテンスで、いわゆる「お客様は神様です」的な奇麗事をさっくり切り捨てているわけです。

単語を見ても、厄介者、バスタード、ろくでなし、と客に向かってひどいことを言ってますwwwいきなり楽しいwしかしfartsは語感的にも間の抜けた感じです。ここはoldと合わせて「ヨボヨボの」とでもしておきましょう。

文章の意味的にはthey= all these old farts we catered to このcartered(要求を満たす)とtiicklishを対応させて、ticklishは「神経質な」で。バスタードはticklishを引っ張って「厄介な連中」と訳してみます。

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僕らが注文を聞くヨボヨボの客はみんな神経質で、厄介な連中だった。

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The Tailor Shop

それでは一発目。

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The Tailor Shop(1939)

I’ve got a motter:always merry and bright!

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motto モットー、座右の銘
merry 陽気な、愉快な
bright 明るい、有望な、ほがらか、元気、愉快


原文は*3つで囲み分りやすくしてみます。
知らない単語が出てきたら、それっぽい意味をすぐ下に書いておきます。
Tailorはカタカナでいう「テーラー」っすね。

これはそのまま「仕立屋」としておくとして、それに続く文はよくあるタイトルをめくったらチョロっと書いてあるやつです。まずは I をどう訳するか。これは初っ端から悩ましいところ。「僕」「ぼく」「私」「わたし」というだけでも大分違いますから。「俺」「おれ」「オレ」なんかでもいいような気がしないでもないです。

色々考えましたが、ここは「僕」で行こうと思います。

always merry and bright!
は神訳「なんでもいいから陽気にしていようじゃないか!」があるんですよね。
これはわりと成句になってるようで、ググると29万件ヒットします。
haveがあるんで懐かしの現在完了形です。
直訳調で訳すと「私はモットーを(ずっと)持っている(今も持ち続けている)。『いつも陽気に明るく!』」

ちなみにこのモットーは短い作中に何度か繰り返しリフレインされます。なので神訳のこともありますし、とりあえず軽く流しておきます。後で直してもいいしね。

最初だけちょっとかしこまって「私の」とでもしておきますか。

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The day used to start like this:”Ask so-and-so for a little something on account,but don’t insult him!”

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so-and-so だれそれ <口>いやなやつ
ask on account 勘定を請求する
insult 〜を辱める 〜に無礼を働く

「仕立屋」は原文で40ページほどの短編です。特徴として、ミラーたん特有の暴れるようなイメージの連鎖や独特の言葉遣いがあまりない、いわゆる抑えた文体になってます。とはいっても読んで見ると俗語はバンバン出てくるし、下品ギリギリのニュアンスも多いのでちょっとくだけた感じでやってみようと思います。

Tha dayというからには特定の一日を指すわけなんで、ここは「当時の一日」くらいでしょう。usd to は過去の習慣。

最初はいいとして、askの後が人になってるんで何か頼んでいるんでしょう。辞書引いたらask 人 for に「人に請求する」という意味もあるんで、on accountを合わせて考えると「誰々に勘定を少し請求してこい」という命令文ですな。

それではまとめてみます。

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仕立屋 ヘンリー・ミラー

私の持っているモットー 「いつだって陽気で明るく!」

 一日は決まってこんなふうに始まった。「誰々さんのところへ行ってツケを少し払ってもらえるか聞いてこい、ただし失礼のないようにな!」

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こんな感じで原文→gdgd解説→訳文として行こうと思います。